交通事故で顔に傷が残った場合の逸失利益
1 顔に傷が残った場合の後遺障害等級
顔に傷が残った場合には、傷の長さや大きさにより、7級12号、9級16号、12級14号が認定される可能性があります。
2 逸失利益とは
後遺障害によって、その後遺障害がなければ得られたであろう収入の喪失分のことをいいます。
逸失利益は、
基礎収入×労働能力喪失率×労働能力喪失期間
で算定されます。
3 顔に傷が残った場合の逸失利益の争点
⑴ 労働能力喪失率
労働能力喪失率とは、後遺障害の影響により、事故前の労働能力100%とした場合に、事故前と比べて何パーセント労働能力が失われたかというものです。
例えば、むちうち14級の場合には、ほとんど5%とされて扱われます。
では、顔に傷が残った場合には、どれくらい労働能力に支障がでるでしょうか?
これは、職業の種類によって異なってくると思います。
例えば、容姿が重要視されるお仕事の場合(モデル、タレント、アナウンサーなど)は、お顔の傷があることによって、収入の減少は容易に想像できます。
しかし、容姿が重要視されないお仕事の場合には、収入が減少するといえるでしょうか。
この点が、実際に保険会社と争いになるポイントです。
例えば、7級の場合は、形式的な労働能力喪失率は56%と決まっています。
9級の場合は35%、12級の場合は14%です。
ただ実際には、顔に傷が残っている場合には、他の部位にも後遺障害が残っていることも多く、それとあわせて労働能力喪失率が決定するため、何級の場合は何%、どの職業の場合には何%とはっきり決まっていないため、事案によってバラバラです。
⑵ 事案によっては逸失利益が認められないこともあります
等級が低い場合や、職業柄、顔の傷によっての収入減少が考え難い場合などには、残念ながら、逸失利益は発生しないとされてしまうこともあります(裁判でもその傾向が見られます)。
この場合、後遺障害慰謝料を増額してもらうことなどもあります。
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